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山と田んぼと太陽と

田舎暮らしもめでたく二年目☆のはてな?とびっくり!ときどきジーン(涙…な日々。さすけねぇ、笑ってくなんしょ♫

東の陽のあたる町で

「アイツをよろしく。」

 

東京の、いわゆる下町のほうの大きな交差点の近くの居酒屋で、

懐かしい友だちと会い、久しぶりにご飯を食べた。

 

そう、なんとなく10年が経っていた。

けれど10年前と、それ以前とまったくかわらない調子で時間を過ごした。

みんな年を取って変化していた。

けれど変わっていなかった。

年を取った分、それぞれがさまざまな出来事を体験し、

多少分別みたいなものは育ったのかもしれないけれど、

あの頃と同じようにしゃべって笑って大いに飲んだ。

楽しかった。

と、いうよりは暖かさがじわじわ沁みてくるありがたい時間だった。

ちょっとだけ、涙がでた。

ほんとうに10年経ったのか、疑うような、不思議な感じだった。

「今度は今日来ていないやつらにも声かけてまたご飯食べよう!」

そんな約束をやんわりと交わして店を出た。

 

交差点で、別れの挨拶をしていた時に彼女が言った。

 

「アイツをよろしく。」

 

その一瞬、すべての音が消えた。

彼女の声だけがダイレクトに私に届いた。

周りの世界は意味を失くして消えた。

私は軽く振動して、鳥肌が立った。

そして。世界が戻ってきた。

 

 

それは間違いなく

彼女の声で、

彼女のイントネーションで、

彼女のテンポであったけれど、

その言葉は、圧倒的な奥行と重みと確かな存在感を持って私に伝わってきた。

 

 

おおいなるところから伝言だ。

 

 

実は、アイツと呼ばれた仲間から私は逃げ出そうとしていた。

アイツだけを残して、私だけひとり安全地帯へ逃げてしまおうと画策していた。

 

でも、それはだめらしい。

彼女の口を通しておおいなるところの「意志」が示されたのだ。

なんとなくだけど、がっつりと、その言葉は私の腑に落ちてきた。

そして、私も、私自身がそれをしたくなかったってことに気がついた。

 

 

しかたないな、もうしばらく面倒みてやっか…

 

 

戻ってきた世界の喧騒の中で、

私はそう思って、

ちょっと安心して、

ちょっと涙が出た。

 

さあ、帰ろう。

作戦練らねばなんねーからな。

 

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