重低音の雨
昨日から降り出した雨が
一粒一粒を見分けることのできるような大粒の雨が
ひっきりなしにまっすぐに落ちてきて
どすどすと聞こえるような重低音で
あたり一帯の田んぼや畑を叩いて大地を揺らしている。
その重低音の連なりはもっともっと低い微細な揺れを創り出し
大地だけではなく、私をも揺らしだす。
その中にじっと坐っていると
私のカラダの深いところも
細かくぶーんと共鳴するように震えてきている。
時間が経つにつれてその振動のふり幅は広がり
そのふり幅の分だけ私が分かれはじめて
普段は感じることのない自分のなかにある「層」を感じる。
そしてその層のひとつひとつに
自分が仕舞いこんでいたたくさんの「気持ち」の残骸と出会う。
あぁ、と思うと
とたんにその残骸はほろほろと崩れて
振動に紛れて霧散してしまう。
切ないような哀しいような、余韻だけを残して。
この余韻もいっしょに連れていってはくれないだろうかと思い
また、静かに坐りなおし
重低音の微細な揺れに沈む。